いったい何がどうしてどうなった?
今、韓国への就航便の多くは、LCC(格安航空会社)が占めています。
韓国最大のLCCは、チェジュ航空だが、近年は国内線と国際線を合わせた乗客数が年間651万3000人を記録。それまで第1位を維持していた韓国最大手の(FSC)大韓航空を抑えて新たな王者に君臨したことも話題になりました。
韓国への旅行者の多くが利用するLCC。そのLCCにあるリスクが潜んでいることがある事件で明らかになってきました。
『韓国LCCにも!?潜むリスクとは?』
今回は、その事件の全容をお伝えします。
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英国LCCで起きたビックリ珍事
機体が重すぎて「離陸できない!」
スペインから英国へ向かう旅客機が、そのままでは重すぎて離陸できないため、機長の呼びかけに応じた19人の乗容が、約7万8000円の協力金と引き換えに機体を降りたという珍事があった。
この珍事があったのは、英国の格安航空会社(LCC)・イージージェットの運航するエアバスA320、EZY3364便です。
出発地はカナリア諸島にあるランサローテ空港で、滑走路の長さは2400m。決して短い滑走路ではないが、国際線の飛行場としては比較的小規模な空港だと言えます。
旅客機が重すぎて飛べないというのは、この滑走路の長さでは、機体重量に見合った離陸速度まで加速できない、ということです。
飛行機が離陸できる重量は、
「発生できる揚力 (流れのなかにある物体に働く合力のうち、その流れに垂直な方向の成分)の大きさ」で決まる。
離陸するには、十分な速度まで加速するための滑走距離に加えて、万一滑走中に離陸を中断した場合に備えて、安全に停止できる余裕を持った滑走路の長さが必要になる。
航空会社は、当然そうした条件を綿密に計算して就航地を選んでいるので、通常の条件で離陸できないような運航計画を立てることはない。しかし、想定外の気象条件が発生すると、予定した重量では安全に離陸できなくなることがあるのだ。
今回のケースでは、出発地であるランサローテ空港の気象条件が、通常の想定範囲から外れていたということになる。
報道によると、機長は
「気温がとても高く、風の向きもよくない」
と説明したようだ。これらの気象条件は、飛行機の離陸能力に影響を与える。
どんな場合に離陸が難しくなるのか。
飛行機の翼が揚力を生むための速度は、地面ではなく空気に対する対気速度である。
そのため、飛行機が離陸する際は、原則として向かい風で滑走する。向かい風の風速は、そのまま飛行機の速度になるので、風を味方に付けて離陸滑走距離を短くするのである。しかし、無風状態では風を味方に付けることはできないし、完全な横風なら離陸に不利な条件にしかならない。
速度のほかに揚力を決定する条件は空気密度だが、これは気温と気圧によって変化する。気温が高いほど空気密度は低いので、気圧が低くて暑い日には、より速い離速度が必要になるため、長い滑走が必要になる。
また、空気密度が低いとジェット・エンジンの推力も低くなって、滑走時の加速は悪くなるから、やはり長い滑走が必要になる。こうして滑走路の長さが足らなくなるという事態が発生する。
パイロットは、離陸前にチャートを使って重量と必要滑走路長を確認するが、今回のケースでは、飛行場の気温が高いため空気密度が低く、利用できる風も吹いていなかったということです。
ときどき発生する運航キャンセル
実は、米国の地方空港で飛ぶローカル航空などでは、気温を理由にした運航キャンセルは、ときどき発生しています。
小さな空港から小型機で少人数を運ぶローカルな路線では、気象条件のせいで運航がキャンセルになっても、路線バスが豪雪や大雨で運休するのと同じような扱いで、あまり大きなニュースにならないのです。
しかし、EZY3364便のように、多くの乗客に影響が及ぶ国際線の旅客機では、こうした事例はまれなこと。
悪天候で飛べないならともかく、軽くするために一部の乗客に降りてもらうという対応は、めったにあることではない。そんなことが多発したら、航空会社の信用に関わるだけでなく、採算性にも影響してしまいます。
余裕の少ないLCCの運航計画
航空会社としては、乗客の支払う運賃で利益を得ている以上、できるだけ多くの乗客を乗せて飛びたいのは当然です。
乗客の需要があれば、できるだけ大きな飛行機に多くの客を乗せて飛ぶことで増収を見込めるため、イージージェットはランサローテ空港の運用上限に近い運航を行っていたのでしょう。その結果、不利な気象条件に見舞われたEZY3364便は、報償金を払って乗客に降りてもらうという対応を強いられました。
近年需要が伸びているイージージェットのようなLCCでは、従来の大手航空会社よりも余裕の少ない運航でコストを削減し、格安料金を実現しています。
到着から出発までの時間を切り詰めて飛行頻度を増やすのがセオリーだが、今回のEZY3364便のように、空港の能力を最大に使った運航もちゅうちょしない。離陸重量を抑えるために、乗客の機内手荷物に重量制限を設け、預け入れ荷物は有料としているのが普通です。
LCCといえども、安全性を犠牲にすることは許されないから、あまりむちゃな運航は当局の承認も得られないが、気象条件や機材不調など不測の事態への対処は難しくなる。予定時刻の遅延は日常茶飯事だし、機材繰りができないための欠航も多い。今回の重量超過騒動も、そうしたLCCならではの出来事でしょう。
韓国LCCにも起こりうる!?
しかし、今やLCCはすっかり社会に定着しているし、地球温暖化に伴う異常気象も珍しいことではなくなりました。コロナ禍で世界の航空需要が激しく変動するなかで、LCCを使った旅行需要が回復していくと、今回のような事例は増えてくるかもしれません。
今や日本から韓国への旅行者の多くは、LCC(格安航空会社)を利用しています。成田空港ではLCCのための第3ターミナルが建設され、利用者数も伸びています。コストを削り、格安で韓国へ行けることはありがたいことだが、その裏で今回の英国LCCのようなことは、韓国LCCでも起こりうると頭に入れておかないといけないでしょう。
最後に、気になるのは、飛行機を降りた乗客19人が得た協力金(7万8千円)は、どういう計算だったのだろうか。LCCなので、購入済みの航空券代ではないでしょう。
■下記は、FSC・LCCそしてMCCの違いやそれぞれの航空会社を紹介している記事です。
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